共通事項
どの業種を選ぶ場合でも共通することは、料金だけで判断せず、数社のサービスを比較することが大事です。
実際に企業にコンタクトをとり、レスポンスや応対が良好であるかどうかも検討材料としてください。
ご自身の本づくりにおいて優先順位を書き出し、依頼する部分・しない部分をできるだけ明確にしておきましょう。
契約は慎重に
契約面でも気を付けなければなりません。
自費出版が流行り出した頃はトラブルが続出していました。
過去のトラブル例
- 出版社側が流通を怠たる
- 売り上げに対する出版社から作者への支払の説明不足によるトラブル
- 作品の陳列方法の認識の違いによるトラブル
- 料金を前払いで支払ったあと、業者が倒産(トンズラ)
など
著作物となる自費出版には、様々な権利や業界ルールが絡み合う難易度の高い法的問題がところどころに存在します。
自費出版の流れ・各工程について、より具体的な説明をもとめ、ご自身でも調査し、疑問点が残らないようにしましょう。
契約書は企業側が用意してくれますが、これもすべての項目に目を通し、変更してもらいたい点などがあれば申し出ましょう。
大前提として、自分の作品の進行管理をお願いするわけですから、意思疎通のとれ、信頼できる相手を見極めることが大切です。
出版社
※自費出版を印刷会社または制作会社に依頼すれば、基本的に作者が出版社を選ぶ機会はありません。
売れる本を世に送りだすことを職務とする業種です。
そのため、本を出版するうえで入口と出口となる編集と流通のノウハウに長けているといえます。
出版社の大きさと流通ルートの広さはだいたい比例します。
流通を優先するなら大手出版社で自費出版を依頼するほうがいいでしょう。
ただしこの場合、予算は数百万円は覚悟しなければなりません。
出版社も営利のため、売れる作品となるように編集に精をだしてくれたり、宣伝広告もがんばってくれるかもしれません。
が、これらの費用は基本的に作者負担となりますし、編集の度合いによっては作者の意図しない作品へと導かれる可能性もあります。
編集・販売サポートなど各工程ごとに、サービス内容・オプション・コストをあらかじめ明示してもらいましょう。
大手でない出版社の利用を検討する場合は、どの程度の流通が見込めるかも事前確認しておきましょう。
書店を数店舗回って、その出版社の本の棚をチェックするのも有効です。
なお、すべての出版社についていえることとして、自社(出版社)の出版物として適しているかを判断されるため、作品の内容によっては出版社側から断られる可能性があります。
印刷会社
※自費出版を出版社または制作会社に依頼すれば、基本的に作者が印刷会社を選ぶ機会はありません。
作品を現物化してくれる会社です。
印刷会社によっては制作も請け負ってくれる会社もありますが、やはり本業は「印刷」ですので、「これを○部刷ってください」と言える状態まで原稿・印刷データを仕上げておくことが望ましいでしょう。
印刷会社にも得意・不得意があります。
写真集のように写真の鮮明さに重点におきたい作品であれば、それを専門とする印刷会社が良いでしょう。
小説などの文庫本のようにモノクロまたは2色刷りの印刷物であれば、それを得意とする印刷会社もあります。
分厚い冊子であれば製本や断裁がキレイなところを選びたいですよね。
特定の印刷物を専門・得意とする会社はそれを作ることに慣れていますから、仕事も早く、料金も比較的安い場合が多いです。
その印刷会社に目的の印刷機があるかどうかを確かめることが印刷会社選びの1つの基準です。
編集・制作会社
※自費出版を出版社または印刷に依頼すれば、基本的に作者が編集・制作会社を選ぶ機会はありません。
編集会社も制作会社も、読み手に伝わる表現を実現するプロフェッショナルです。
編集はいわば情報の整理を担うものであり、作者のアイディア・原稿を、読み手が分かりやすい文章・構成に仕上げます。
制作は編集の終わった原稿をもとに、読み手が読みやすいよう各ページに各種情報をレイアウトして、本の元となるデータを仕上げる作業です。
編集者と制作者(デザイナー・オペレーター)双方が在籍する会社は多く、伝達性の高い書籍に仕上げるために編集と制作が並行して行われることもあります。
編集・制作会社を選ぶポイントは、作りたい書籍と同種の書籍を手掛けているかという点でしょう。
例えば、印刷物をつくる制作会社でも「ペラ物」と呼ばれるポスターやチラシを得意とする会社がありますが、このような会社は書籍のような「ページ物」をつくることが得意ではない場合が多いです。
編集も同様、売り文句のようなインパクトのある文言をつくるコピーライターと、書籍の内容全体を考えながら文章・構成を整えるライター・編集者は別物です。
不慣れとするものも依頼すれば結果的に良いものが仕上がるかもしれませんが、慣れている業者に頼む方が時間・コストともに節約できる可能性が高いでしょう。
また、制作面では制作者のスキルも重要で、整理されたデータづくりをしてくれるかどうかもポイントの一つといえます。
後日、データの流用や更新、再版する場合に、余計なコストがかからないメリットがあります。